名古屋市中村区亀島の濃厚熟成醤油らーめん拉ノ刻

名古屋の現場って、昼メシの選択肢が多いようで意外と“ちょうどいい一杯”に辿りつけない日があります。

図面とにらめっこして、電話が鳴って、職人さんに段取りを伝えて、気づけば胃だけが置き去り。

そんな日に、亀島駅の4番出口を上がってすぐ、風に混ざって鼻先へ飛び込んでくる醤油の匂いに引っ張られるようにして入ったのが「濃厚熟成醤油らーめん 拉ノ刻」でした。

昼はラーメン一本勝負、夜は同じ場所が食堂酒場の顔になるらしい、ちょっと変わった二刀流の店です。

私は建築の仕事柄、昼休憩が読めないことも多いのですが、だからこそ“短い時間で芯を刺してくる店”に弱い。

今回は、亀島で見つけたこの一杯を、空気ごと持ち帰るつもりで書きます。

なお、丁寧に書くつもりですが、たまに口が悪いのが漏れたらすみません。根は優しいんです、多分。

店舗情報

店名 濃厚熟成醤油らーめん拉ノ刻
住所 〒453-0013
愛知県名古屋市中村区亀島1-7-15
営業時間 濃厚熟成醤油らーめん 拉ノ刻(昼)11:30~14:00
大衆食堂 呑ノ刻(夜)18:00~23:00
定休日 日曜
交通手段 地下鉄東山線 亀島駅4番出口より徒歩1分
支払い方法 PayPay可
お問い合わせ 052-451-2288

グーグルマップ

設備

席数 24席
個室 無し
貸切 不可
喫煙 禁煙
駐車場 無し
設備 カウンター+テーブル
お子様連れ 夜営業は不可

亀島駅4番出口の真横、ラーメンの匂いで方向が決まる

亀島駅の4番出口を出た瞬間、まず「近っ」と思いました。名古屋駅から歩ける距離なのに、駅前の慌ただしさから少し外れていて、空気がひと段落する感じがあるんです。私はハイエースで動くことも多いのですが、この日は地下鉄。というのは、ここは駐車場がないと分かっていたからです。近くにコインパーキングはありますが、現場の時間が読めない日に車で来ると、余計な焦りを抱えることがあります。なので、駅近という強みを素直に使いました。

店の前に立つと、扉の向こうに人の気配がちゃんとある。店名の印象は濃いのに、入り口は意外と肩肘張らない雰囲気で、ふらっと入っても怒られなさそうな安心感がありました。そして中へ入ると、席の配置が思ったよりも“食べるための店”に寄っていて、夜の酒場の顔を想像していた自分の頭が少しズレたのが面白かったです。こういうズレ、嫌いじゃありません。

メニューを見て「あれ?」となる潔さと、迷いの始まり

席についたら、メニューでまず迷うだろうと思っていました。なぜなら私は優柔不断だからです。ところが、ここで想像が外れます。選択肢が少ない。昼の拉ノ刻は、ラーメンが主役で、あれこれ悩ませるより“これを食え”という潔さが前に出ている。私はいつもの癖で、初手から「特製」にしようと心を決めかけました。特製って言葉、ずるいですよね。なんか勝ち確みたいな響きがある。

ただし、値段を見て一瞬だけブレーキがかかりました。特製らーめんは満足度が高そうな一方で、初回から盛りすぎると店の素顔を見誤ることがある。私はラーメン食べ歩きが趣味のくせに、こういうとき妙に慎重になります。さらに隣の席の人が注文していたのが普通のらーめんで、厨房から立ち上がる香りがすでに濃い。そこで気持ちが揺れました。「これ、普通でも十分濃いんじゃないか?」と。

そして結局、いったん普通の濃厚熟成醤油らーめんにして、ライスも付けました。なぜなら、私は背脂と醤油が強い系統だと、最後に白米で着地したくなるタイプだからです。ここで“正解ムーブ”だけ書くのは簡単なんですが、正直に言うと、ライスの量は読み違えました。軽い気持ちで頼んだら、思ったより存在感があって、胃袋の計算が少し狂いました。昼の現場前にやる判断としては、危うい寄り道でした。

着丼の瞬間、醤油の輪郭が先に刺さる

待っている間、店内は静かすぎず、うるさすぎず。ラーメン屋って、忙しいと空気が尖ることがありますが、ここは妙に落ち着いていました。店員さんの声が過度に丁寧というより、必要なことが短くスッと届く感じで、私はこういう接客が好きです。なお、私はお笑いだとサンドウィッチマンが好きなのですが、あの二人の“余計なことを言わずに笑わせる”空気に少し似ています。押しつけがない。

そしてラーメンが置かれた瞬間、スープの表面に浮いた背脂の粒と、醤油の色がまず目に入ります。香りは甘さよりも、醤油の立ち方が先。濃厚と聞くとドロッとした豚骨を想像する人もいるでしょうが、ここの印象は「重さがあるのに、輪郭がはっきりしている」。レンゲを入れると、熱がしっかりしていて、湯気が顔に当たる。私はこの瞬間、午前中の雑音が少しだけ遠ざかりました。

一口目は、醤油が前に来ます。そして豚のコクが追いかけて、背脂が丸くまとめる。なぜなら、背脂って“濃くする”より“角を取る”役目もあるからです。ここはそのバランスが良くて、濃厚なのに飲めてしまう怖さがある。危ない。昼休憩の短い人間が、ついレンゲを進めてしまうタイプのスープです。

麺と具材、そして「向いている人」がはっきりする味

麺は細めのストレート系で、スープを持ち上げてくる。歯切れがよく、ズルズルよりもスッと入ってくるタイプです。だからこそ、スープの醤油感がブレない。具材は、もやしやねぎのシャキッとしたところが、背脂の丸さと対照的で、口の中が単調になりません。チャーシューも存在感があるのに、脂で全部を押し切らない。つまり、濃厚熟成醤油らーめんという名前にビビっている人ほど、意外と食べられる可能性があります。

ただし、万人向けかと言われたら、私は首を横に振ります。というのは、醤油の立ち方が明確だからです。正直、塩ラーメン派の人や、魚介の繊細さが好きな人には向かないと思いました。私は“醤油で殴ってほしい日”がある派なのでドンピシャでしたが、優しい味だけを求めるなら別の店のほうが幸せでしょう。こういう好みの分かれ方をする店ほど、刺さる人には深く刺さります。

量についても触れておきます。見た目の圧は強すぎないのに、スープの密度で満足感が積み上がるタイプです。そのため、初来店で「特製+大ライス」みたいな欲張りセットは、腹が弱い人はやめたほうがいいです。私はライスを付けて少し後悔しました。途中で「あ、これ、スープだけで満足させに来てるやつだ」と気づいたんです。気づくのが遅い。自分の胃袋を過信しました。

夜は居酒屋、昼のラーメン屋の顔

食べ進めていると、ふと「ここ、夜は酒場になるんだよな」と頭をよぎります。ところで、昼の空気には居酒屋っぽさがあまり出ていません。むしろラーメン屋としてのテンポが前にある。だから、昼に来る人は“夜の店”を想像しなくていい。逆に夜の呑ノ刻を知っている人が昼に来ると、この潔さに驚くかもしれません。

夜はおでんや串かつ、刺身、鉄板のつまみ、定食まで広いらしいので、仕事帰りに「今日は飲むほどじゃないけど、温かいもん食いたい」って日に合いそうです。そして最後にラーメンで〆る。私はそういう導線に弱い。なお、夜はPayPayが使える一方で、昼は現金中心でカード等が使えない情報もあります。こういう“時間帯で仕様が変わる店”は、知らずに行くと一瞬だけ戸惑います。私は財布を薄くしてる派なので、現金が少ない日だと冷や汗が出ます。事前に小銭の安心を持って行くのが無難です。

禁煙の安心、短い営業時間という現実

店内は禁煙の案内がはっきりしていて、煙が苦手な人にはありがたいです。ラーメンって香りの食べ物なので、煙草の匂いが混ざると全部が台無しになりやすい。私はそこまで敏感じゃないですが、それでも一杯に集中できる空気は価値があります。

一方で、昼の営業時間は短めです。11時半から14時あたり。現場の都合で昼休憩がズレる人間には、これが地味に難しい。私は雨の日が休みになったりする仕事なので、こういう店に当てられる日もありますが、毎日通うにはタイミングが要ります。だからこそ、行けた日に“ちゃんと満足して帰れる”店は強い。短い時間で勝負している感じが、味にも出ていました。

亀島駅すぐ近く、らーめん拉ノ刻まとめ

食べ終わるころ、レンゲを置くのが惜しくなりました。濃いのに、止め時が分からない。私は「胃に重いからやめよう」じゃなくて、「これ以上飲むと午後が終わるからやめよう」という理由で手を止めました。ここ、そういう店です。

そして次は、たぶん特製を頼みます。今回は普通で十分だと分かったから、次は欲を出していい。なぜなら、店の素顔を見たあとに盛る特製は、単なる贅沢じゃなく“確認”になるからです。正直に言うと、私はこういう“醤油が前に出る豚骨醤油”が好きです。流行りの淡麗とは逆方向で、建築の現場帰りの身体に効く。万人に受けなくてもいい。自分の腹が「また来い」と言うなら、それで十分です。

名古屋駅周辺で「名古屋駅西口 ラーメン」や「亀島 ラーメン」を探している人、そして“アキラ系”みたいな言葉にピンとくる人には、ここは一度刺しておいたほうがいいと思います。逆に、優しい出汁の透明感を求める人は、別の幸せを探したほうがいい。好みは分かれます。でも、分かれる店ほど記憶に残る。私はこの一杯を、次の雨の日にもう一度、静かに確かめに来ます。”