栄でラーメンを食べるとなると、どうしても派手な一杯か、酒の勢いで押し切るような重たい一杯に目が向きがちです。
ですが、そういう街だからこそ、輪郭のはっきりした醤油の香りで惹きつけながら、食べ口は意外と整っていて、しかも時間帯によって店の表情まで変わる一軒には、つい足を止めたくなります。
今回書くのは、名古屋市中区栄3丁目、プリンセス遠山ビル1階に店を構える「麺屋 華山」です。
栄駅と矢場町駅のちょうど間あたりにあり、徒歩で向かえる立地です。
通常は淡麗醤油らぁ麺や貝出汁らぁ麺、和牛らぁ麺、ヴィーガン白湯らぁ麺まで揃える一方で、深夜帯には「裏かざん」として夜鳴きラーメンを出す、少し変わった顔つきの店でもあります。
営業時間の表記には媒体差がありますが、食べログでは11時から24時、ぐるなびでは月曜から土曜が翌5時まで、日曜は24時までと案内されており、遅い時間に強い店であることは間違いありません。
この店の良さは、ただ新しいだけでは済まないところにあります。
淡麗醤油という言葉だけを見ると、すっきり上品で、量より雰囲気を食べさせるタイプに見えるかもしれません。
しかし、実際にメニューを追うと、炙り和牛めしやレアチャーシュー丼、つけ麺、和牛らぁ麺まで揃っていて、きれいにまとめるだけの店ではないことが見えてきます。
しかもレビューを追うと、貝の旨みをしっかり感じたという声もあれば、醤油の主張や酸味の立ち方に好みが分かれそうだという声もありました。
つまり、誰にでも無難に寄せた店ではなく、ちゃんと輪郭を持った一杯を出している店です。
自分はラーメンに関して、きれいごとだけで語るのがあまり好きではありません。
腹が減っているときに、見た目の品の良さだけで満足できるほど器用な人間でもないです。
だからこそ、この店のように「淡麗です」と言いながら、ちゃんと食後に印象を残そうとしてくる店は気になります。
しかも場所は栄です。
昼の一杯にもなれば、飲んだあとの締めにもなる。
その両方を狙える店は、便利という一言で片づけるにはもったいないです。
今回は、麺屋 華山がどんな店なのかを、腹で評価する職人型ライターの目線で、できるだけ体温のある言葉で掘っていきます。
栄でラーメンを探している人はもちろん、深夜ラーメン、淡麗醤油、貝出汁、あるいは一人で入りやすいカウンターの店を探している人にも、読み終えた頃にはかなり具体的な姿が見えてくるはずです。
栄の真ん中で、派手すぎないのに気になる店です。
麺屋 華山は、愛知県名古屋市中区栄3-12-14 プリンセス遠山ビル1階にあります。
最寄りは栄駅、または矢場町駅で、どちらからも歩いて6分ほどです。
繁華街のど真ん中といえばど真ん中ですが、店の立ち方は必要以上に騒がしくありません。
そのため、店に着いた瞬間にまず思うのは、「栄でこの感じなら入りやすいな」です。
いかにも観光客向けの派手さで押してくる店だと、腹が減っているときほど逆に気持ちが引くことがあります。
ですが、ここは一杯の内容で勝負したい空気が先に立っていて、その控えめさがむしろいいです。
自分がこういう店で最初に見るのは、正直に言うとメニューより回転です。
職人仕事をしていると、昼飯に変な待ち方をしたくない癖がつきます。
その点、華山は席数こそ13席と大きくはないものの、カウンター主体で一人客との相性がいいです。
個室も貸切もない、いわば真正面からラーメンを食べるための店です。
子ども連れも不可ではなく、全席禁煙寄りの情報が強く、空気が読みにくい店ではありません。
ただし、駐車場はありません。
ここははっきりしていて、車でさっと寄るタイプの店ではないです。
自分みたいに駐車場の有無を気にする人間からすると、この一点は先に頭へ入れておいたほうがいいです。
栄という立地を考えれば仕方ないですが、近くのコインパーキング前提で動くことになります。
メニューを開いた瞬間、想像より守備範囲が広いと気づきます。
こういう名前の店だと、正直最初はもっと一本勝負だと思っていました。
淡麗醤油らぁ麺だけを中心に置いた、細い美学の店かと思ったんです。
ところがメニューを見ると、淡麗醤油らぁ麺だけでなく、貝出汁らぁ麺、淡麗醤油つけ麺、和牛らぁ麺、ヴィーガン白湯らぁ麺まである。
さらに炙り和牛めし、レアチャーシュー丼、究極のTKGまで置いてあるので、腹の減り具合や同行者の好みに合わせやすいです。
ここで一度、注文の手が止まりました。
自分は本来、こういうとき一番上に載っている看板商品を素直に頼むタイプではありません。
むしろ少しひねりたくなる性分です。
だから最初は貝出汁らぁ麺に気持ちが寄りました。
栄で貝出汁という響きも悪くないですし、飲みのあとならなおさら合いそうだと思ったからです。
ですが、その横で和牛らぁ麺1,800円という文字が目に入り、さらに炙り和牛めしまで見えてしまうと、今度は「いや、ここまで来たなら肉を見に行くべきか」と欲が出る。
ただし、昼にその判断をすると、あとで胃が重くなることがあるんです。
現場仕事の人間は、昼飯で失敗すると午後に響きます。
だから最終的に、まずは店の芯を見るべきだと考え直し、淡麗醤油らぁ麺の方向へ戻す。
この小さな逡巡がある店は、案外悪くありません。
どれを頼んでもそれなり、ではなく、ちゃんと迷わせるだけの理由がメニューにあるからです。
正直、和牛らぁ麺は初回から飛びつく人を少し選ぶと思います。
ラーメン一杯として見ると安くはありません。
もちろん、A5ランク和牛使用という打ち出しには説得力がありますし、観光気分やご褒美感が欲しい人には刺さるでしょう。
しかし、自分はラーメンで一番うれしいのは、値段の高さではなく「この値段でこの満足か」です。
その意味で、最初の一杯は淡麗醤油か貝出汁から入ったほうが、この店の地力は見えやすいです。
和牛は二回目以降の楽しみに回したほうが、たぶん後悔が少ないです。
淡麗醤油らぁ麺は、上品に見せながら腹に記憶を残す一杯です。
淡麗醤油らぁ麺という言葉には、少し危うさがあります。
というのは、この手のラーメンは、見た目だけ整っていて、食べ終わる頃には印象が薄くなる店も少なくないからです。
ですが華山は、少なくとも公開されているレビューや店の打ち出しを見る限り、そこをただの“きれいめ”で終わらせていません。
鶏清湯に熟成醤油を合わせる設計で、醤油の輪郭を残しつつ、見た目以上に印象を立てようとしているのが伝わります。
実際、レビューでは「甘みある醤油に惹かれた」という声があり、別の声では「醤油のコクはあるが、やや酸味やカドも感じた」と書かれています。
この並びを見て、自分は逆に安心しました。
全員に一律で“優しい味でした”とだけ言われる店より、良い意味で反応が割れる店のほうが、芯があることが多いからです。
卓上の鰹節で味が少し丸くなった、という感想もあり、食べ手が途中で自分の好みに寄せられる余地もあるようです。
自分みたいに、昼飯でラーメンを食べるなら「きれいすぎるより、少し主張が欲しい」と思う人には、この感じはむしろ合います。
一方で、本当に塩気の角が一切ない、完全に丸い一杯を求める人には少し違うかもしれません。
ここは万人受けのために全部を曖昧にしていないはずです。
だから、優しいだけの淡麗を想像して行くと、思ったより醤油が前へ来る可能性があります。
ただし、それがこの店の弱点というより、店の意思だと自分は感じます。
正直、何を食べても50点以上にまとめるタイプの店より、自分はこういうほうが信用できます。
貝出汁らぁ麺は、派手さではなく沁み方で選ぶ人向けです。
華山でもう一つ気になる軸が、貝出汁らぁ麺です。
ラーメンの世界で貝出汁と聞くと、旨みがきれいに伸びる反面、うまくいかないと印象が弱くなることがあります。
しかし食べログ上の口コミでは、貝の旨みがしっかり出ている、体にやさしい温かい味だった、といった声が見られます。
薄いのではなく、沁みる方向へ持っていく一杯として受け取られているのがいいです。
ここで想像するのは、周囲の客の丼です。
自分が席に座って、最初は淡麗醤油のつもりでいたのに、隣に運ばれてきた貝出汁らぁ麺の湯気を見て、少し気持ちが揺れる。
こういうことは、ラーメン屋では本当によくあります。
しかも貝の香りは、味噌や豚骨みたいに遠くまで主張しないのに、近くで食べていると妙に気になるんです。
「あれ、今日の腹にはこっちだったか」と一瞬思う。
ただ、そこで注文を変えると、今度は看板を見ないまま終わる怖さもある。
この迷いが生まれる時点で、二枚看板として成立している証拠です。
自分としては、初回なら淡麗醤油、二回目なら貝出汁がしっくりきます。
なぜなら、店の基礎体力を見たいなら醤油のほうが輪郭がわかりやすいですし、店との相性が掴めたあとに貝出汁へ入ると、その繊細さや違いが拾いやすいからです。
一方で、飲みのあとや、今日は少しやさしめにしたい日なら、最初から貝出汁へ行く選択も十分ありです。
ラーメンは結局、その日の腹と気分に素直なほうがうまいです。
和牛らぁ麺とごはんものは、腹で評価する人間ほど冷静に選びたいです。
華山のメニューで目を引くのは、やはり和牛らぁ麺でしょう。
A5ランク和牛使用という言葉は強いですし、栄という場所柄にも合います。
炙り和牛めしまであるとなると、肉で押す満足感を期待したくなります。
ただし、ここは少し冷静になったほうがいいです。
自分のように、つい腹が減っていると全部乗せたくなるタイプは特にそうです。
和牛らぁ麺に炙り和牛めしまで付けると、金額もそれなりに伸びますし、食後の満腹感も軽くは済まないはずです。
もちろん、それで幸福になれる日もあります。
ですが、ラーメン屋での失敗は、たいてい“食べたい”より“盛りたい”が勝ったときに起きます。
この店は淡麗系の看板から入る印象と、サイドの欲望がぶつかる店です。
だからこそ、注文時に一度立ち止まったほうがいい。
その一呼吸を入れずに頼むと、きれいなスープを味わうつもりが、最後は腹の苦しさとの勝負になる可能性があります。
なお、レアチャーシュー丼や究極のTKGの存在も見逃せません。
ラーメン屋のサイドメニューは、主役を食うほど前へ出すぎると散ります。
しかし、ここは麺だけでなく米側にもちゃんと視線を送っている感じがあります。
そのため、ラーメンが少し軽く感じそうな日には、こうしたごはんものを足すのがいいです。
逆に、和牛らぁ麺のように単価も存在感も強い一杯を選ぶなら、サイドは無理に重ねないほうが満足度が整いやすいでしょう。
腹で評価する人間ほど、ここは欲望のかけ算をしすぎないほうがいいです。
深夜の「裏かざん」があることで、この店は昼だけの店ではなくなっています。
華山が面白いのは、昼の顔だけで終わらないところです。
深夜0時以降は「裏かざん」として、夜鳴きラーメンを出す構成が確認されています。
メニューも通常営業とは分かれていて、夜鳴きラーメン、夜鳴きチャーシューメン、特製夜鳴きラーメンと、締め需要を意識したラインです。
この切り替えは、栄という街と相性がかなりいいです。
昼にラーメンを食べる人と、深夜にラーメンを欲する人では、求めるものが少し違います。
昼は、ちゃんと味わいたい。
夜は、うまさに加えて“救われたい”が入る。
その点で、華山が昼は淡麗、夜は夜鳴きと顔を分けているのは、単なる話題づくりではなく、街の時間帯に合わせた実用性があります。
ただ、自分はここでもひとつ言っておきたいです。
深夜ラーメンという言葉は魔力があります。
ですが、遅い時間に食べるラーメンは、理性が弱った状態で食べるからこそ、過大評価しやすいです。
だから、本当に店の実力を見たいなら、最初は昼か夕方に入ったほうがいい。
深夜の一杯は、どうしてもその日の酒量や疲れ、気分に左右されます。
裏かざんは魅力ですし、背脂量の指定ができるという情報もあって面白い。
それでも、この店の本質を一発で掴みたいなら、まずは通常営業の丼で向き合うべきです。
正直、深夜のテンションで“最高”と言い切る記事は、朝になると少し怪しいことがあります。
接客や店の空気は、食べる側の緊張をほどく方向にあるはずです。
華山について、豪快な接客で押してくるような情報は見当たりません。
むしろ、食べログやぐるなびの基本情報を見る限り、一人で入りやすい整った構成です。
自分がこういう店でありがたいと思うのは、必要以上に話しかけられず、でも放っておかれすぎない距離感です。
ラーメン屋は回転が命ですが、回転を急ぐ店と、流れがいい店は違います。
前者は落ち着かず、後者は食べることに集中できます。
席に着いた瞬間の安心感というのは、案外大事です。
カウンターの店だと、背中に圧を感じることがあります。
早く食えよと言われているわけでもないのに、勝手にそう感じてしまう店はあるんです。
ですが、華山のようにメニューの幅があり、ラーメン以外の選択肢も用意されている店は、どこか懐がある。
そのため、一人で入っても「注文をミスりたくないな」と変に身構えすぎずに済みそうです。
店選びで失敗したくない人にとって、この入りやすさは意外と重要です。
栄でラーメンを探すなら、華山は“ちょうどいい個性”があります。
栄のラーメン事情は、強い店が多いです。
味が濃い、量が多い、写真映えする、深夜までやっている。
そういう強さの競争になりやすい街で、華山は少し違う立ち位置にいます。
淡麗醤油、貝出汁、和牛、ヴィーガン、さらに深夜は夜鳴き。
方向がバラけているように見えて、実は「時間帯や客層によって選べる」という一本の線でつながっています。
この店は、どんな人に向くのか。
まず、栄で一人でも入りやすいラーメン屋を探している人には向いています。
次に、淡麗醤油ラーメンが好きだけれど、上品すぎて物足りないのは嫌だという人にも合う可能性があります。
また、深夜に締めのラーメンを探している人にとっても候補になります。
さらに、同行者の好みが割れやすい場面でも、貝出汁やヴィーガンまであるのは強いです。
一方で、正直に言えば、車移動が基本の人には向きません。
駐車場がない以上、そこははっきり不便です。
また、値段だけで腹いっぱいを狙うデカ盛り系の店でもありません。
和牛らぁ麺まで含めて見ると、安さ一点突破ではないです。
だから、千円前後でとにかく量を詰め込みたい人には、別の店のほうがわかりやすいかもしれません。
ただし、自分はこういう“ちょっと考えて選ぶ店”が嫌いではないです。
安い、濃い、多いだけで終わらない一杯には、食後に妙な余韻が残ることがあります。
名古屋栄の麺屋華山のレビューまとめ
もし初めて麺屋 華山へ行くなら、自分ならこうします。
まず昼か夕方に入ります。
そして最初の一杯は、淡麗醤油らぁ麺を基準に考えます。
腹の余裕があるならレアチャーシュー丼かTKGを添える。
ただし、和牛らぁ麺や炙り和牛めしは、店との相性を見てからでも遅くありません。
貝出汁らぁ麺は、二回目の楽しみに取っておくのもいいです。
深夜の裏かざんは、その店のもう一つの顔として、日を改めて行く価値があります。
ラーメン屋というのは、うまければそれでいいようでいて、実はそれだけでは残りません。
場所、時間、腹の減り方、注文の迷い、隣の客の丼、卓上の調味料に手を伸ばす瞬間。
そういう細かい記憶が積み重なって、「また行く店」になります。
麺屋 華山は、まさにその余白を持った店です。
栄でラーメンを食べる。
その行為自体は珍しくありません。
ですが、昼は淡麗、夜は夜鳴きという二つの表情を持ち、しかも一杯ごとの輪郭がぼやけていない店となると、話は少し変わってきます。
自分は、腹で評価する人間です。
だから見た目だけきれいなラーメンには、少し厳しいです。
その意味で華山は、まだ新しい店でありながら、ちゃんと腹の記憶に残ろうとしている感じがありました。
正直、塩梅の丸さだけを求める人には少し意見が分かれるでしょう。
しかし、それでいいと思います。
万人に薄く好かれるより、好きな人がもう一回行きたくなる店のほうが、町の店としては強いです。
栄でラーメンを探していて、淡麗醤油、貝出汁、深夜ラーメン、和牛ラーメン、そのどれかに少しでも引っかかったなら、麺屋 華山は一度のぞいてみる価値があります。
うまいかどうかだけではなく、自分の腹と相性がいいかどうか。
その答えを確かめに行く店です。

