名古屋駅から少しだけ南へ。
そのため、仕事道具を積んだハイエースで走っていても、ふと「今日はラーメンで腹を決めたいな」と思ったときに寄れる距離感でした。
ただし、寄れる距離感といっても、サッと横付けしてドアを開けるような店じゃありません。
というのは、店のあるマーケットスクエア笹島は、歩いて楽しい反面、車の“停めどころ”が店とセットでは用意されていないからです。
それでも行きたくなったのは、店名の「ぐり虎 Ocean Club」という字面が、町のラーメン屋っぽくないのに、腹の奥に響く匂いがしてきたからでした。
私はいつも、腹で判断します。
味の良し悪し以前に、仕事終わりに「もう何も考えずに満たされたい」とき、そこに応えてくれるかどうかが先に立つんです。
ところで、この店は“満たす”の方向が、いわゆるドロドロの濃厚豚骨でねじ伏せるタイプとは少し違いました。
また、カウンターに座った瞬間に感じるのは、油と湯気の膜よりも、明るさと清潔感のほうでした。
正直、私はこういう雰囲気のラーメン屋に、最初は身構えます。
なぜなら、洒落てる店ほど量が細く、値段が強気なことがあるからです。
それでも、ここには「腹を満たすための工夫」と「味で遊ばせる余裕」が、同じ器の中に同居していました。
今回は、ぐり虎 Ocean Clubで、塩と昆布水と、ちょっとした迷いと、最後に残る“納得”まで。
そんな一杯の体験を、現場職人の腹目線で、できるだけそのまま持ち帰ってきます。
店舗情報
| 店名 | ぐり虎 Ocean Club(グリコ) |
|---|---|
| 住所 | 〒453-0872 愛知県名古屋市中村区平池町4-60-14 マーケットスクエアささしま 1F |
| 営業時間 | 11:00~22:00 |
| 定休日 | 不定休 |
| 交通手段 | あおなみ線ささしまライブ駅から徒歩5分 |
| 支払い方法 | クレジットカード不可 QR決済可 電子マネー可 |
| お問い合わせ | 052-526-1325 |
グーグルマップ
設備
| 席数 | 23席 |
|---|---|
| 個室 | 無し |
| 貸切 | 不可 |
| 喫煙 | 全席禁煙 |
| 駐車場 | 無し |
| お子様連れ | 可能 |
名駅から一歩外れた場所に、腹を預ける店がある。
名古屋駅の賑わいから、歩くと少し距離がある場所です。
そして、あおなみ線のささしまライブ駅が近い。
つまり、歩きでも電車でも行けるのに、車で来ると急に難易度が上がる。
私はそこを読み違えました。
というのは、現場帰りに「近いなら行けるだろ」と、勢いでハンドルを切ったからです。
ただし、店の前に駐車場があるわけじゃない。
そのため、近くのコインパーキングを探して一周して、もう一周して、そこでやっと「腹が減るのと駐車は別問題だな」と気づきます。
この時点で、私は少しだけ不機嫌でした。
ところが、建物に入って店の前まで来ると、その不機嫌がスッと引く。
なぜなら、外の風が強い日でも、店の中は明るく、湯気がやさしく立っていたからです。
ラーメン屋に入って、先に“空気”が落ち着いてると、腹も落ち着く。
こういう店は、回転率も悪くない。
待っている客の動きが、もたついていないからです。
券売機の前で、私は一度負けました。
席に着く前に、まず券売機です。
そして、券売機の前で、私は一度、気持ちが折れます。
というのは、メニューが想像よりも幅広い。
塩があって、醤油があって、つけ麺があって、辛いやつもある。
さらに、特製だとか限定だとか、腹をくすぐる単語が並ぶ。
私は本来、初見の店では“看板”にいきます。
ところが、その看板が一つじゃない。
そのため、最初は「特製の塩で決まりだな」と指を伸ばしたのに、直前で止まりました。
なぜなら、横で並んでいた若い兄ちゃんが、迷いなく“麻辣昆布水つけ麺”みたいな札を押したからです。
その動きが、やけに速い。
そして、押した瞬間の顔が「今日はこれで勝ち」と言っていました。
正直、こういうのを見ると揺れます。
自分の腹が、急に“塩の澄んだやつ”より、“つけ麺の濃い勝負”を求め始める。
ただし、私は辛さに弱い。
そこで一度、つけ麺を諦めて、塩に戻しました。
ところが、もう一度だけ迷って、結局、つけ麺に手を伸ばす。
この迷い方が、自分でも情けない。
でも、こういう揺れがある店は、だいたい楽しい。
カウンターに座った瞬間、ラーメン屋の常識が少しズレた。
席に着くと、店内が意外に明るい。
また、油の匂いが前に出てこない。
そして、椅子やカウンターの距離感が、妙に窮屈じゃない。
私は現場の昼メシで、狭いラーメン屋にも慣れています。
けれど、ここは“詰め込んで回す”より、“気持ちよく回す”感じでした。
そのため、作業着でも居心地が悪くない。
ただし、作業着の自分が場違いかと言われると、少しだけ場違いです。
というのは、女性一人客が普通に入ってくる雰囲気だからです。
それが良い。
ラーメン屋って、男だけの場所になると、空気が固くなる。
ところで、ここは空気が柔らかい。
だから、腹の警戒が解ける。
「無料で使えるもの」が、腹の計算を狂わせる。
卓上に、玉子と海苔が置かれていました。
そして、自由に使える。
最初は、私は疑いました。
なぜなら、無料のサービスって、だいたい“遠慮しろ”という空気がついて回るからです。
ただし、ここは違う。
店員さんの目が、押しつけがましくない。
そのため、私は一枚だけ海苔を取って、麺の横に置きました。
ところが、食べ始めると、海苔の一枚じゃ足りない。
そして、玉子も一つじゃ足りない。
気づけば、腹の計算が変わっていました。
私はいつも、ラーメン一杯の満足を“麺量とスープの濃さ”で測ります。
でも、ここは“途中で満足が増える”タイプです。
この増え方が、ズルい。
まずは麺。
つけ麺の麺は、噛むと歯切れがいい。
そして、ただ硬いんじゃなく、噛んだ先に香りがある。
そのため、つけ汁に入れる前に、少しだけそのまま口に入れてしまいます。
私はこういう行儀の悪いことを、つけ麺ではよくやります。
なぜなら、麺がうまい店は、それだけで勝負できるからです。
そして、昆布水が絡む。
粘りは強すぎず、でも水っぽくない。
口の中で、麺が“すべる”というより、“まとってくる”。
この感覚は、現地でしかわからない。
写真で見ても伝わらない。
だから、ここで私は少し笑いました。
「洒落た店に来たつもりが、ちゃんと腹に向かってくるじゃん」と。
つけ汁のクセは、好みが割れます。
つけ汁に、辛さと痺れの気配がある。
見た目だけで言えば、強い。
ただし、ただ辛いだけじゃない。
というのは、昆布水の香りを消しきらず、辛さが後ろで支える感じがあるからです。
私は辛さが得意ではありません。
そのため、最初の一口は、正直、構えました。
ところが、玉子を絡めると、急に角が取れる。
そして、海苔で巻くと、香りが立って、辛さが丸くなる。
この時、私は一つミスをしました。
最初から玉子を多めに取っておけばよかった。
なぜなら、途中で足りなくなると、取りに行く動きが少し恥ずかしいからです。
でも、恥ずかしさより、腹の満足が勝ちます。
だから、私は二度目の玉子を取りに行きました。
周りの客も普通にやっていたので、気にしないことにしました。
「大盛り」の判断は、現場の人間でも迷う。
私は腹が減っていると、大盛りにしがちです。
ただし、ここでの大盛りは、勢いで押すと危ない。
というのは、麺がしっかりしている分、食べ応えが想像より重いからです。
私は一瞬、「大盛り無料なら当然だろ」と思いました。
ところが、隣の席の人が、途中で箸を止めて水を飲んだ。
そして、少しだけ前屈みになった。
あの姿は、腹が満たされたときの姿です。
そこで私は、普通盛りにしました。
これが正解でした。
もし大盛りにしていたら、最後の一口の“うまい”が、たぶん“苦しい”に変わっていた。
私は、苦しさで勝つラーメンは嫌いです。
腹で勝って、気持ちで負ける。
それは現場でも一番ダメなやつです。
塩のラーメンは、職人の昼にちょうどいい。
別の日に、塩の一杯も試しました。
塩と聞くと、私は“あっさり”を想像します。
ただし、ここは薄いだけの塩じゃない。
なぜなら、鶏の旨味が前に出て、塩がそれをまとめるからです。
そして、トッピングが軽く見えない。
チャーシューの存在感があり、メンマも歯に気持ちいい。
また、刻んだ玉ねぎのような香りが、口の中を一度リセットする。
そのため、仕事の昼でも、午後に響きにくい。
ところで、私は午後に現場があると、脂の重いラーメンを避けることがあります。
この店の塩は、避ける理由がない。
だから、昼の選択肢として強い。
サイドの扱いで、店の腹への本気がわかる。
唐揚げや餃子があると、私はつい頼みたくなります。
しかし、ラーメン屋のサイドは、当たり外れが大きい。
そのため、ここでも一度迷いました。
「ラーメンだけで勝てる店なら、サイドは飾りだろ」と思ったんです。
ところが、周りの客が餃子を頼む率が高い。
そして、唐揚げを追加している人もいる。
そこで私は、餃子を付けました。
結果、これは付けてよかった。
餃子は、変に甘くない。
皮が主張しすぎず、ラーメンの邪魔をしない。
唐揚げは、腹に来る。
ただし、ここで注意です。
唐揚げを付けると、ラーメンの“繊細さ”を楽しむ余裕が減る。
つまり、腹を満たすなら唐揚げ。
味を追うならラーメン単体。
私は腹派なので、唐揚げを付けても後悔しません。
でも、繊細な塩をじっくり味わいたい人は、最初の一回は付けないほうがいい。
これは私の正直な判断です。
回転率の良さは、現場の昼に効く。
注文から着丼までが、妙にもたつかない。
また、店員さんの動きが急かさないのに速い。
そのため、昼休憩の短い人でも計算が立ちます。
私は現場で、昼が15分ズレるだけで、午後の段取りが全部ズレることを知っています。
だから、ラーメン屋の回転は大事です。
ただし、早いだけの店は、落ち着かない。
一方で、ここは落ち着く。
というのは、店内が明るく、席の間が息苦しくないからです。
ラーメン屋で落ち着けるのは、意外と贅沢です。
ぐり虎 Ocean Cluのデメリット
まず、駐車場が店の専用で付いていない。
そのため、車で来る人は最初に一回、余計に歩きます。
そして、現場帰りの私みたいに荷物が多いと、少し面倒です。
また、雰囲気が明るく洗練されているぶん、油の暴力を求める人には物足りない可能性があります。
私は「ガツンと豚骨で殴られたい日」もあります。
そういう日には、正直、ここじゃない。
なぜなら、ここは“殴る”より“組み立てる”ラーメンだからです。
さらに、メニューが多い。
それは良いことでもある一方、初回は迷って決めきれない。
私は迷って、券売機の前で一度、心が散りました。
あの迷いが楽しい人もいる。
ただし、サッと入ってサッと食べたい人には、最初の一回だけ、少し疲れるかもしれません。
ぐり虎 Ocean Clubが向いている人
向いているのは、塩や昆布水みたいな“素材の輪郭”が好きな人です。
また、ラーメン屋でも空気が明るいほうが落ち着く人。
そして、一人でも気にせず入って、ちゃんと腹を満たしたい人です。
一方で、正直に言います。
私は“脂で白飯をかきこむ派”なので、ラーメンをオカズに飯を爆発させたい人には、ここは好みが分かれると思いました。
なぜなら、ラーメン自体が完成していて、白飯が主役になりにくいからです。
ただし、無料の海苔や玉子を使って、自分で遊べる人なら話は変わります。
この店は、遊べる人が勝つ。
私はそう感じました。
▼ささしまライブ近くに行ったら帰りにぐり虎 Ocean Clubへ
ぐり虎 Ocean Clubは、腹に優しい顔をして、腹にちゃんと響く店でした。
また、洒落た雰囲気のくせに、現場帰りの汚れた手でも受け入れてくれる懐がある。
そして、塩もつけ麺も、どちらも逃げずに作っている。
そのため、「次はこれを試す」という宿題が、自然に残ります。
私はラーメンを食べるとき、だいたい“正解”を探してしまう。
でも、ここでは“正解探し”より、“次の一杯の想像”のほうが先に来ました。
だから、また来ます。
ただし、次は駐車場の当たりを先に付けてから行きます。
腹が減る前に、車を停める。
それが、この店を気持ちよく楽しむための、いちばん現実的なコツでした。
名駅から歩いてささしまライブに行く人も少なくないと思います。
そういった人は駐車場の心配もいらないのでぜひ寄ってみるといいかもしれません。

